大判例

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大阪地方裁判所 昭和36年(ワ)4131号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告永嶋は永嶋製作所なる名称を用いて鈑金熔接業を営み、原告引間は右永嶋方に熔接工として勤務し一カ月平均金一万三〇〇〇円の給料収入を得ている者であり、被告は土木建築業を営む株式会社であり、訴外北口は被告方に自動車運転手として勤務する者であるところ、昭和三四年九月二八日、原告引間は、訴外北口の過失により、同人の運転する普通貨物自動車を原告引間の運転する第二種原動機付自転車に衝突させられ、原告引間は左下腿挫創、左脛骨、腓骨骨折等の傷害を受け、昭和三四年九月二八日より昭和三六年一二月末頃まで二七カ月余りの間に亘り、入院ならびに通院治療を重ね、この間原告永嶋方に勤務して働くことができず、全く就労しなかつたが、雇主である原告永嶋は原告引間に対し、右休職していた期間中も、毎月金九、〇〇〇円宛を交付していた。原告引間は被告に対し、自動車損害賠償法第三条本文又は民法第七一五条に基づき、医療費、慰藉料とともに就労できたならば得たであろう利益喪失による損害金として、右就労できなかつた期間中のそれに一カ月金一万三〇〇〇円の割合による金員を請求すると主張したのに対し、被告は全部否認して争つた。裁判所は、右金九、〇〇〇円は原告永嶋の好意から出たもので当然支給さるべきものではなかつたから、給料一カ月金一万三〇〇〇円のうち右金員の限度で損害を蒙らなかつたと解することはできないとし、次の通り判示した。

「原告引間は右休職していた期間中も、原告永嶋から毎日金九、〇〇〇円宛の交付を受けていたことが認められるけれども、原告引間は右休職期間中、全く原告永嶋に労務の提供をしていないのであるから、右原告永嶋が原告引間に交付していた右金九、〇〇〇円は所謂労働の対価たる賃金(給料)として支給されたものということはできないし、又本件における全証拠によるも、原告永嶋が原告引間の右休職中の期間中、労働基準法に定める障害補償その他法律上の根拠に基づいて、毎月右金九、〇〇〇円宛を支給していたものとは認め難く、却つて原告引間、同永嶋各本人尋問の結果によれば、原告引間は原告永嶋の義弟であつて、かつ原告永嶋方に住込みで働いていた関係から、原告永嶋が好意的に右原告引間の休職期間中、その生活を援助する意味で、毎月前記金九、〇〇〇円を交付していたことが推認できる。してみれば、原告引間は右金九、〇〇〇円を給料又はその他法律の規定に基づき原告永嶋から当然に支給を受くべきものとしてこれを受けとつていたものではないから、原告引間が前記休職の期間中、正当に受け得べき給料一カ月金一万三、〇〇〇円のうち、右金九、〇〇〇円の限度においては損害を蒙らなかつたと解することはできず、却つて原告引間は本件事故による受傷のため、前記の通り約二七カ月間余りに亘り休職し、その間原告永嶋から正当に受け得べき給料一カ月金一万三〇〇〇円の割合による合計金三五万一、〇〇〇円相当の得べかりし利益を喪失し、同額の損害を蒙つたものというべきである。」

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